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W杯出場国32チームが出揃ったので強さ順にランクづけして戦術・フォーメーション・注目選手等を紹介/18位 セルビア🇷🇸

18位/セルビア代表(Бели Орлови、White Eagles
FIFAランク38位、2大会ぶり12回目
監督:クルスタイッチ(暫定監督)

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東ヨーロッパのドナウ川以南、バルカン半島に位置する国。スラヴ人が大半だが、ゲルマン人の大移動やドイツの東方植民によってドイツ系住民も多く抱える。

古代にはローマ帝国支配下にあり、分裂後はギリシャの東ローマ(ビザンツ帝国)の影響下に入り、ギリシャ正教を受容。その後スラヴ人をまとめて独立して建設された国がセルビアだ(Srbijaスラヴが語源)。

14世紀にはオスマン帝国ビザンツ帝国の都コンスタンティノープルを陥落させたことで成り替わってバルカンに進出。オスマン帝国のスレイマン大帝はモハーチの戦いでハンガリー軍を撃破、神聖ローマ帝国の都ウィーンを包囲するなど破竹の勢いで進軍し、東欧、そしてバルカンは完全にイスラーム勢力の支配下に入ることになる。

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しかし19世紀になるとそのオスマン帝国も衰退し、

"パン=スラヴ主義"を掲げてスラヴ人よ一つにまとまれ!」と煽ることでバルカン半島支配下におさめ不凍港を確保しようとするロシア帝国(ロシアはスラヴ系)と、

"パン=ゲルマン主義"を掲げ「ドイツ語の響く土地は全てドイツ」と豪語し、バルカンをドイツ&オーストリア(※オーストリアはドイツ人の国)のテリトリーにしようと図るドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の間で激しい衝突が発生。バルカンは割れ、混乱に陥る。

1877年、露土戦争(ロシア=トルコ戦争)にロシアが勝利したことでセルビアオスマン帝国から独立ロシアの影響下へ。しかし独立してもなお、セルビア国内でのパン=スラブ主義の盛り上がりはとどまるところを知らず、いまだオスマン帝国オーストリア=ハンガリー帝国の支配下にあるスラヴ系民族に向け、セルビア武装蜂起を呼びかける。

オーストリア=ハンガリー帝国はこれを鎮めるためにドイツ帝国とバルカンのドイツ系住民に協力を得て、ボスニア=ヘルツェゴビナ併合など積極的にバルカン進出を展開。一方ロシアパン=スラヴ主義を煽りスラヴ系民族にトルコと戦争させるように仕向ける。

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こうし20世紀のバルカン半島列強が煽った民族紛争によって勢力図まだら模様のカオス状態となり、"ヨーロッパの火薬庫"と呼ばれるようになる。

そしてとうとう、あの有名なセルビア人によるオーストリア皇帝暗殺、サラエボ事件が発生。WW1の引き金を引くことになる。

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WW1後、セルビア王国の主導でバルカン半島セルビア・モンテネグロクロアチアスロベニアを統合したユーゴスラビア王国(ユーゴ=南、「南スラブ人の国」の意味)が誕生。


しかし、同じ民族といえども異なる文化や歴史、アイデンティティを持つ、別の国同士。「単なる"セルビアの拡大"に過ぎない」として、各所から、セルビア人の統治であったユーゴスラビア体制への不満が爆発。

 

特にクロアチアの抵抗は激しく、WW2中に当時怒涛の攻勢を見せていたドイツと結んで独立を図りセルビア側と戦争が勃発。ユーゴ国王は国外逃亡したものの、ティトーというカリスマ率いるゲリラ組織がドイツ軍に抗戦、勝利を収め、WW2後にソ連の衛星国としてユーゴスラビアを復活させる。

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この時のユーゴスラビア連邦は、セルビアクロアチアスロベニアボスニアヘルツェゴビナモンテネグロマケドニアの6つの共和国とコソボ、ヴォイヴォディナの2つの自治州から成る大国だったが、
指導者ティトーの圧倒的なカリスマ性によって国内紛争も無く、またコミンフォルム脱退によりソ連の飼い犬にもならずに独立国として見事にまとめあげられる。

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しかし1980年にティトーが死去するとユーゴ内では再び内戦が勃発1991~92年にクロアチアスロヴェニアマケドニアボスニアヘルツェゴヴィナが独立宣言、それを認めないセルビアとの激しい内戦(ユーゴ内戦・ボスニア内戦)が1995年まで続く。

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2006年にモンテネグロセルビアから分離することでユーゴ解体紛争は落ち着いたが、未だコソボ自治州などがセルビア国内に残されており、セルビアコソボ独立宣言に対し軍事的に弾圧したことで「人道的介入」として米大統領クリントン率いるNATO空爆を受けた。

セルビア側としては、コソボセルビアの民族的発祥の地であり、国家の「核」であるだけに絶対に独立は認められないという姿勢。問題は多く残されている。

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その旧ユーゴスラビア"東欧のブラジル"と呼ばれたサッカー大国で、国内リーグもイタリアのセリエAに引けを取らないレベルの高さを誇った。
特にセルビアの首都ベオグラードを本拠地とするレッドスターベオグラードは、80年代終わり〜90年代はじめにかけてヨーロッパ最強格となり、91年には欧州チャンピオンズカップ優勝&世界制覇を成し遂げた。

しかしその後内戦により国内リーグから選手が西欧に流出。ストイコビッチマルセイユ10番、サビチェビッチACミラン10番、プロシネチキレアルマドリーの10番として活躍。他にもボバンミヤトビッチなどバロンドールクラスが国外でその名声を轟かせた。

W杯では日本代表監督も務めたオシムが代表監督として率いた90年代初頭が黄金期で、ヨーロッパ最強国として君臨し、90年W杯でベスト8まで勝ち進むも、内戦勃発により92年のEURO、94年のW杯をともに出場停止の制裁を受ける。やがてユーゴ解体により“幻の優勝候補”として歴史から姿を消した。

 

旧ユーゴの個性的な天才肌の選手たちの多くは、街に人が集まると自然発生的にはじまるストリートサッカーによってその技術を磨いた。
クラブの選手育成方法も独特で、足下を強制的に見えなくさせる特製ゴ-グルをつけて直接目で見ずにボールを扱う練習をするなど、ボールの扱いに長けてテクニックがあり、かつ視野が広くパスが上手いプレイヤーを多く育ててきた。

 

セルビア代表もそのDNAを色濃く受け継いでいる。パスを細かく繋ぐのが上手く、FWからDFに至るまで足元のテクニックが総じて高い。このパス能力の高さへの自信の表れは、タディッチ、コスティッチ、リャイッチというトップ下タイプを前線に3人配置するセルビアのフォーメーションにも現れている。

また、フィジカルの高さもズバ抜けていて、そもそもチーム全体の平均身長が190センチ近くあることがヤバイが、デュエル・空中戦では負けることがない。セントラルMFとして配置されるであろうマンUマティッチ(194センチ)とラツィオミリンコビッチサビッチ(192センチ)の岩タイプコンビは中盤では世界屈指の堅さで、そう簡単に突破を許すことはないだろう。ボール奪取からトップ下三人衆にすばやく繋いでカウンターを炸裂させる原動力となる。

さらにはその後ろに控えるCBイバノビッチ(186センチ)・マクシモビッチ(193センチ)のコンビも屈強で、安定した守備には隙がない。

かつてのFKの名手ミハイロビッチ現代表のSBコラロフをはじめセルビアはチーム全体が強烈なシュート力を持っているがこれも旧ユーゴの伝統で、幼少期の育成から、足の甲を使い思い切り蹴るインステップキックを、足の内側で優しく蹴るインサイドキックよりも優先(重要視)して叩き込むらしいサッカー教育の賜物だ。

 

10月、セルビアをW杯出場に導いたムスリン監督はその守備的すぎるスタイルや主力のミリンコビッチサビッチとの無用な衝突などを理由に解任された。セルビアサッカー協会は現在、新監督として名古屋でも監督を務めた英雄ストイコビッチの招聘を狙っている。

テクニシャンが多いだけにチームを上手く纏められた時の強さは強烈だが、果たして。伝統のユーゴサッカー復活の時が待たれている。

 

 

◼︎基本フォーメーション4-2-3-1

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◼︎注目選手

 

▼ネマニャ・マティッチ
所属:マンチェスター・ユナイテッド(英)
MF ボランチセントラルMF

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今季チェルシーからマンUに移籍した巨人MF。デカくてパワフルな194センチの岩。タフなタックルを繰り出して中盤のパサーやドリブラー潰し、相手の攻撃をどん詰まりに追い込む。卓越した守備力・ボール奪取力を誇る世界的ボランチ
また、元は10番タイプを務めていたこともあり、セルビア人らしくボールコントロールやパスセンスにも定評がある。
ボール持ってる奴を潰すのが好き過ぎて、たまにポジション放棄して出て行きすぎ、監督に怒られる。

 

▼セルゲイ・ミリンコビッチサビッチ
所属:SSラツィオ(伊)
MF トップ下、ボランチ、セントラル

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真ん中で吠えてるのが彼。
192センチと規格外の巨人MFで、デカくて速くて身体が強くて足元が上手くて守備が堅い。冗談みたいな選手だが、現実に存在する。
どんなプレーにも体を張ることができ、スピードのあるドリブラーにも追いついて潰し、ボールを奪い、相手2〜3人に囲まれても押しのけて突破する。
ゴリゴリの屈強さと柔らかさを併せ持ち、フィジカルを生かしたプレーとテクニックを生かしたプレーを交互に繰り出す。
前目のプレーも好んでおり、タイミングの良いゴール前への飛び出し、ペナルティエリア内でボール保持からのお膳立てFWへのアシスト、セットプレー時のヘッドも得意としている。
市場価格100億を超える、ワールドクラスの23歳だ。