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俺とオマエのFIGHT CLUB

世の中に溢れる「ヒトの行動分析」っていい加減「生物学」の枠に収まらんの?

今日の雑文。

 

「ヒトの行動分析(“学”)」みたいなもんって本来、霊長類学、動物行動学、あるいは生態学(ethology)とかの一分野であるべきと思うのね

 

イロモノ臭の文脈(こんな見方もあるんだよ〜な扱い)じゃなく、列記としてヒトは動物だし、霊長類学者のフィールドワーク本でも読めばもうほんと、本当にそうなんだよな。

 

もちろん、動物観察に「擬人化」の眼を持ち込むのはよくないって"警告"もある。ドゥ・ヴァールをはじめ、多くの霊長類学者はチンパンジーボノボ、ゴリラ、その他サルたちの振る舞いを、人間フレームで語るのを好む。

 

そうやって語られたフィールドワークの記録はちょっとアレだって話。

 

でも、有名な霊長類学者たちがこぞって「動物」の行動を “ヒト的 ” に喩えてしまう(ひっくり返して、ヒトを暗に「動物」に喩えてしまう)のは、けっしてエゴい主観を挟めようと思ってそうしたわけじゃなく──彼ら自身の弁解のとおりに、「マジでそうにしか見えないから」なんだと思う。

 

マジでそうなものを、たとえばセックスを交尾と言い換えたりキスを口接とワザワザ言い換えたりするのは、そりゃ、おかしな話だろ。

ボノボは、気味が悪いほど、一般に想像されている「ヒトの祖先」のイメージに相似した振る舞いをする動物だ。

[このことについては、“ネオテニー” という説明要素を用いて、チンパンジーボノボ、ヒトの起源的接続性について、またのちに]

 

 

<文脈が途切れる>

 

 

たとえば、

 

世の変態男はなぜおちんちんびろーんwwwな行為をしちゃうのか?

 

───ということについてだって、現状では、通常「社会学」や「犯罪心理学」からのアプローチが為されるんだけど(それはヒトが “自由意志” を持つ存在だという前提による、)、これは本来、動物行動学者の担当領域なわけだ。

 

だって「メスにおちんちんを見せつける(ペニス・ディスプレイ)」という行為はけっしてヒト種特有のものじゃあなく、動物界に広く散見される──とくにヒトの親戚・チンパンジーのオスがメスへの求愛時に行う──振る舞い(ビヘイビア)の一つなんだから。

 

「ヒトは動物じゃないんだから。。」というまったく非科学的な(道徳的ではある)前提を、科学の領域にしれっと持ち込むのはやめにしなければならない。変態が、おちんちんびろーんwww をしてしまうのは、生物学的な観点からはそれほど「異常」な振る舞いじゃあない。

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──もちろん、公平に、いわゆる「理性」もヒト種を特徴付ける思考機能であり、これも生物学的な基盤を伴ったもの(ヒューマンユニヴァーサルズ)だ。

 

[ ヒト理性 (reason) とはヒトの"動物本能"の一つである。このことをぜひ認めてほしい。生物学的に言えば伝統的な <理性vs本能> のフレームは誤りだ。「理性」は進化上の適応物であり、その根底にはヒトが先祖の霊長類たちから受け継いだ神経科学的な"動物基盤"が存在することが判明している ]

 

──そういう意味で、変態が「おちんちんびろーんwww」な振る舞いを、“理性をもって抑制” しなかったことは確かに「異常」なのかもしれない。

 

──そうであれば勿論、社会学者や犯罪心理学者の出る幕はあって当然だ。ただ、行為そのものは生物学的な「異常行動」には当たらないことに留意されたい。

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──さらに神経科学的な事実をもって首を突っ込めば、いわゆる「理性 (的思考) 」や「意識」とは、たいていヒトが「行動したあと」に生じるものだ。

 

この現象は、生理学者ベンジャミン=リベットらの研究*libet 1999 以来ずっと検証され続け、fMRIを使った近年の脳科学実験によっても幾度となく確かめられ、首が傾げられている “ワンダー” だ。

(進化心理学者たちは、これについて「心のモジュール理論/Modularity of mind」から説明を与える )

 

ヒトは「目覚めて」いたって、その実、だれもがデイドリーマー (白昼夢の中にいる) として生きている。

 

──このことを踏まえずに、理性や意識による “抑制” というものを軽々しく論じるべきじゃあない。

 

“ ──あなたは、自分がこの記事を読む決定をしたと思っているかもしれない。だが実際は、あなたが自分の決定を認知するずっと前に、脳が決定を下したのだ。”