アーセナル編/海外サッカー入門向けに強豪クラブベスト20チームの戦術と有名選手を紹介してみる Part 19
19位/アーセナル(Arsenal Football Club)
所属:プレミアリーグ 本拠地:英国・ロンドン 監督:ベンゲル
1886年に軍需工場で働く労働者のクラブとして生まれたため、チームの愛称はガナーズ(Gunners, 砲撃手)。チームエンブレムにも大砲が描かれている。
もともとは守備的に1-0を狙うチーム戦術が有名だったが、1996年にベンゲルが監督に就任して以来、華麗なパスサッカーを武器とする攻撃的な戦術("パス&ムーブ")を採用して生まれ変わった。
2003-04シーズンには一度も負ける事なく無敗優勝を果たし、その時のメンバー(アンリ、ベルカンプ、ヴィエラなど)は「The Invincibles」と呼ばれ、伝説となった。しかしそれ以降補強費を出し渋ったことで次第にリーグの優勝争いから遠ざかり、すっかり噛ませ犬ポジションに落ち着いてしまった。
CL出場圏内にギリギリ収まる「4位力」が毎シーズン凄まじく、好調のシーズンは終盤になると失速し4位フィニッシュ、ヤバいシーズンでも最終節付近に謎に勝利を積み上げて4位に滑り込む神通力を持っている。(なお、今シーズンはまーたどうせ4位フィニッシュいけるやろとタカをくくっていたところ5位に終わりCL出場権を逃すこととなった)
ちなみにCLでは「ベスト16力」を持っており、これより上にも下にも行けない。ちょっとでも調子にのると格上チームに容赦なくボコられてしまう。今季もバイエルンに10-2で大敗した。
13年から出し渋っていたカネを掛けはじめ、クラブレコードの移籍金でドイツ代表メスト・エジルをレアルマドリーから獲得。その翌年14年にはアレクシス・サンチェスをバルセロナから獲得。
さらに今季はフランスで得点を量産したラカゼットを獲得し、俺たちはアーセナル的な(=金もかからず派手さもないが労働者的で地味にイイ)選手しかとらない 的な方針を大きく曲げ、札束の力でクラブブランド復活を目指している。
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戦い方のキホンは「パス&ムーブ」を標語とするパスサッカー。選手間で一定の距離を保ちつつショートパスをつなぎにつなぎ、空いたスペースにボールを送って走りこむ。
同じパスサッカーでもペップバルサほど機械的でシステマティックではなく(チーム全体でパスからゴールまでの道筋イメージの共有がない)、その場その場の個人のフィーリングでボールを繋ぐため、ドタバタした意外性(笑)がある。
ペップバルサほど横パスは使わず、ひたすら縦に縦にとボールを送り、パスサッカーっぽいことをしてカッコつけつつ、結局脳筋野郎達がフィジカルでゴリ推してゴールを決める。
20年間続いたベンゲル政権だが、マンネリが極みに極まってきている。
■アーセナル2016-17シーズン
https://youtu.be/DOFn3JeMI0g
■今季の基本フォーメーション3-4-2-1
<有名選手>
ドイツ代表のファンタジスタ。
ロングパスの優雅な曲線は見るものを痺れさせる。パスは精確で、適切な方向、適切な強さで完璧に味方にパスを供給することができる。
どんなときでも独力ではボールを運ばず、味方を生かすパスを選択する。たとえゴール前であったとしてもシュートよりはショートパス。生粋のパサーとしてゴールを演出していく。
弱点といえば、守備はしっかりとやるものの、アジリティや積極性に欠ける点。スタミナ、運動量が無く後半にバテる点。ゴール前へと飛び出していくような攻撃性を感じない点が挙げられる。 徹底的に舞台袖から主役FWを引き立て、演出する役。
アレクシス・サンチェス/チリ代表
FW センターフォワード
14年にバルセロナから移籍し、あっという間にプレミアリーグ屈指のストライカーへと成長した。
抜群のスピードに多彩な攻撃能力、正確で決定力のあるシュート、ピッチの状況を瞬時に把握する頭脳、前線からのチェイシングなど攻守におけるハードワークを特徴とする。
破壊的な攻撃力を支えているのはやはりドリブル能力の高さ。
169cmと小柄ではあるが、体幹がめちゃくちゃ強いため驚異的な腰の粘りを持ち、脅威の切り返しを見せる。
瞬間的に進行方向を90度以上変えることができ、DFの腰を砕いて突破する。
アレクサンドル・ラカゼット/フランス代表
FW センターフォワード
フランスで毎シーズン30得点付近を積み上げる怪物。シュートセンスに優れる大砲。左右両サイドどちらからも正確にゴールを狙い、離れた場所からもミドルを突き刺す。
下半身を大きくしならせるようにしてぶち込むシュートは身体能力の高さや天性のバネを感じさせる。
スピードとボディバランスに優れ、身長は無いながらもフィジカルが強くゴール前で鬼キープができるため、そこにサンチェスなどを走りこませて連携がとれると驚異になる。