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『スイマーズボディ幻想の罠』──ヒトの思考バイアスを「男のモテ」に応用する:Part.2

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人間のアタマには思考の落とし穴(バイアス)が備わっている。

認知心理学者たちは、数々の研究や実験によって実証された、その “バグ=リスト” を俺たちに惜しみなく提供してくれる。

──しかし、それを見て「ヒトの脳みそは愚かだ」とはっきり言い切ってしまう前に、進化心理学者のギーゲレンツァーやトッドらが主張するように「 “愚か” であることこそ適応度が高く、生物個体にとっては合理的な選択だったのだ(少なくともホモ属の長い歴史において)」──ということについて深く考えてみる必要がある。

 

「ヒトの思考の落とし穴」の典型例(認知心理学者が解き明かしてきた「“バグ” リスト」)の一覧については、ロルス・ドベリ「Die Kunst Des Klaren Denkens──52 Denkfehler Die Sie Besser Anderen U¨berlassen / 邦題:なぜ間違えたのか?誰もがハマる52の思考の落とし穴」にまとめられたものから引いてきた。

 

実はちょっといい機会があり、ヒマなので(ヒマじゃないが)それを「モテ」に応用できるかちょっと考えてみたものだ。当初、自分用にまとめていたものなので、走り書きになっている。

前回はこちら。

 

 

思考の落とし穴2.

スイマーズボディ幻想の罠

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──水泳をすればだれでもオリンピック選手のような逆三角形のカッコいい身体になれるか? 答えはノーだ。

 

水泳をしたからそうなったというよりも、そういう肉体になれる素質がもともとあり、だからこそ水泳でオリンピックに出れたといった方がいい。

 

世の中の水泳部たちはみんな、部活で毎日のように何時間と泳いでいる。しかし、オリンピック選手のようなセクシーな逆三角形ボディを持つ者は、そのうちの僅かに過ぎない。

(たしかに、みんなそれなりに引き締まってはいるが、その程度に引き締める為だけなら、毎日何時間と水泳をやるべき必然性はない。)

 

人間は、なにかを選択する際に、いつでも「幻想」に騙され、欲しい結果やなりたい状態だけを理由にそれを選択してしまう。

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憧れを抱いた人間は「典型的なアイコン」や「典型的なイメージ」のみに注目する

──その化粧品を使ったからモデルが綺麗になったわけではないのに、モデルの綺麗さを見て、綺麗になろうと思ってその化粧品を選ぶ。

「その化粧品を使ってもブスなままのやつ」のことは考えないわけだ。

 

 

もっといえば、学歴競争だってそうだ

──「Sクラスの大学に入ったやつはみんな成功してる」「Bクラスの大学に入ったやつはやっぱりみんなパッとしない」

・・受験勉強をやろうと思うような人間の大半は、みんな単純に、“高学歴”に憧れを抱いてやるものだ。

だから誰もが「良い大学に入れば→良い就職が約束される」というような典型的イメージを脳内強化し、それにすがろうとする。じゃあ実際どうなのか?

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──少なくとも「就職」ベースに結果をみてみると、受験競争真っ最中の高校生たちがたしかに信じているように「偏差値が2〜3違うだけで入れる企業には天と地のような差がつく」ということはけっしてない。大方横並びである。

 

どんな大学を出ようとデキるやつはデキるし、バカなやつはバカなままだ(イイとこに内定をもらうスキルがイコールで「デキる」になるかどうかはひとまず置いといて)。

学歴と成功には相関こそあれ、結局は一個人の才によるところが大きい。

 

「俺はスイマーのボディになりたい!」と憧れるのはいいが、そのままプールに飛び込むまえに、それが “イメージ” につられた行動ではないか、よく考えてみることが大切だ。

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👁‍🗨 進化心理学的な解釈

 

──ワナビー」は幻想を抱きやすい。

 

ある人間が漠然と「I wanna be...」と思うとき、そのココロには憧れ=同一化欲求が生じている。このような不安定な状態の人間は、それを安定させようと短絡的な方向にむかいやすくなる。

 

ヒトは群れで生きる社会性の動物だ。同一化欲求である「憧れ」を叶えるには、まず “真似” をすることだろう。

 

人類の歴史を600万年ちょうどとしよう、俺たちは、そのうちの599万年間を「バンド」とよばれる数十人程度の集団(ヒトの平均的群れサイズ)で暮らしてきたのだ。

 

それは学校の1クラスサイズだ。ヒトの “社会” はその中に収まっていた。そういう場所で、あるヒト個体がだれか他のヒト個体に「憧れ」を抱いたとする。

 

すぐに“ 真似 ” を始めるだろう(たとえば狩りがうまい先輩に憧れるなら、その練習に追従するだろう)。

 

そして、その “真似” にはめちゃくちゃ効果がある──だって「憧れ」の対象は24時間ともに暮らす生活集団の中にいて、その行動習慣のすべてを把握しているのだから。

 

ところが、現代社会はそうではない。

 

家族でもない限り、誰かにずっと密着してその行動習慣を眺めることはできないし、彼のことをその生い立ちからずっと知っているわけでもない。

 

──むしろ、誰もがテレビでしか見ない芸能人など遠い世界の存在に憧れている。

憧れ対象の情報が限られているからこそ、テレビ出演やCMなどによって強く印象付けられた特定のイメージから他を勝手に脳内補完して、「○○さえすれば△△になれる!」というスイマーズボディ幻想に陥りやすくなる。

 

このようにして、「クリロナがPAOをやっていたから俺も・・」ということが起こる。もし、クリロナの私生活に24時間密着していれば「PAOさえやればクリロナみたいにカッコ良くなれる」なんて幻想は微塵も抱かないはずだ。

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実際にリアルで誰もと深く関わりがある共生集団のなかでは、誰かに憧れた際、彼への信心を強く抱いてしまうことにデメリットはなかった。

 

そうした方が「弟子」としても迎えられやすかっただろうし、憧れている存在に対してつねに遠くから引いた目を持って構える捻くれ者よりは、素直で無邪気な奴の方が生存戦略を優位にすすめただろう。

 

しかし、それはある意味「幻滅」という“卒業”のプロセスが伴っていてこそバランスがとれるもので、「憧れの存在」を有用に活用する手段ともなるわけだ。

 

──メディアやインターネットの断片的なイメージのみに牛耳られた現代社会では、“幻想” はどこまでも加速してしまう。

 

 

 

✔️モテたい男のためのTIPS

 

──「○○さえすればモテる!」を鵜呑みにするのはやめよう

 

「○○さえすればモテる!」はあまりに甘美なフレーズであるために、俺のブログにもたびたび登場する。

しかし、それはあくまで慣用的な表現であって、もちろんそれだけでどうにかなるというものではない。

 

こうやって文字面にすれば「当たり前じゃねーか」と思うかもしれないが、

実際に世の中の男たちの大半は「○○さえすればモテる!」を心のどこかで信じている。

 

たとえば「カネさえあればモテる!」「社会的地位さえあればモテる!」というふうに何かを盲信してしまう。

 

それは

  • カネを持っている男→モテる
  • 高学歴の男→モテる
  • 社会的地位がある男→モテる

というイメージがあまりに印象的なために、そこにスイマーズボディ幻想が強く働くためだ。

 

さらには、非モテな自らの現状に照らし合わせて「そう信じていた方がラクだ」というココロの防衛機制というものも無意識に働く。

  • 俺がモテないのはカネがないからだ・・・。
  • 俺がモテないのはブサイクだからだ・・・。
  • 俺がモテないのはチビだからだ・・・。
  • 俺がモテないのは・・・。

 

──いますぐに、その幻想は捨てなきゃいけない

特にヤバイのは、「男はマジメにコツコツと働けばモテる」のような、カルヴァン主義的なモラルとの合わせ技だ。

モラルに適合したコモンセンスな正論だから、誰もが異論を唱えにくいものだ。

(コツコツと働いてないのにモテる男、カネがないのにモテる男、社会的地位がないのにモテる男は“モラルハザード” なので、彼らからは常にガン無視される)

 

マジメにコツコツ働きさえすれば誰もがモテるようになるか?

──賭けてもいい、その9割以上の人間はべつにモテるようになんてならない。

キャバクラの客としての需要が上がるだけだ。

 

非モテなカネ持ちはヤバイ。

 

──それはホモサピエンス本来の生物学的なカップリング構造というものが、キャバ嬢ー彼氏(セフレ)キャバ嬢ーパパ(彼氏) 、という二重構造になっているためだ。

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とはいえ、ヒトはなにかの幻想を信じなければ努力に邁進することはできない、というのも事実かもしれない。

 

けっして鵜呑みにする必要はないが、俺が信じている“スイマーズボディ幻想”は以下のようなものだ。

 

男は、

 

①「モテる」メカニズムについての生物学的な知見を武器に

②テストステロンをあげて

③ひたすら実践と経験を積めば

 

──誰でもモテるようになると思う。

 

マジで、これに関してはやるかやらないかじゃないかな。

 

 

おわり。

 

 

(第3回はこちら)