『“自信過剰 ” の罠』──ヒトの思考バイアスを「男のモテ」に応用する:Part.3
人間のアタマには思考の落とし穴が備わっている。
認知心理学者たちは、数々の研究や実験によって実証された、その “バグ=リスト” を俺たちに惜しみなく提供してくれる。
──しかし、それを見て「ヒトの脳みそは愚かだ」とはっきり言い切ってしまう前に、進化心理学者のギーゲレンツァーやトッドらが主張するように「 “愚か” であることこそ適応度が高く、生物個体にとっては合理的な選択だったのだ(少なくともホモ属の長い歴史において)」──ということについて深く考えてみる必要がある。
「ヒトの思考の落とし穴」の典型例(認知心理学者が解き明かしてきた「“バグ” リスト」)の一覧については、
ロルス・ドベリ「Die Kunst Des Klaren Denkens──52 Denkfehler Die Sie Besser Anderen U¨berlassen / 邦題:なぜ間違えたのか?誰もがハマる52の思考の落とし穴」にまとめられたものから引いてきた。
実はちょっといい機会があり、ヒマなので(ヒマじゃないが)それを「モテ」に応用できるかちょっと考えてみたものだ。当初、自分用にまとめていたものなので、かなりの走り書きになっている。
(前回はこちら)
思考の落とし穴3.
“自信過剰”の罠
──いわゆる「自信過剰バイアス」というやつだ。あらゆる専門家の予測はなぜ外れるのか?「俺の専門分野だ」という自信過剰バイアスが働き、物事を正しい目で評価できなくなるためだ。
人間は、誰しもこれは"俺の得意分野だ!"と思うと、嬉々として自信満々になる。そして思いっきり外してしまう。
株をやってる奴は、だれしも「これは俺の勝ちパターン」というものを持つ。ゆえ、そのパターンに遭遇すると、「絶対上がるに決まってる」とついつい見通しが甘くなってしまうわけだ。
このバイアスの存在を知る堅実な人は、「これは俺の得意分野だ→ だからこそ自信過剰な作用が働いているだろう→ むしろ慎重めに修正しよう」という風に予測を考え直すことができる。
ところで「自信過剰」になることにはデメリットしかないのだろうか?
──行動経済学者によるスタートアップ起業の成否についての研究(Frese & Cielnik, 2014)はそれを「否」とする。
それによれば「自信過剰」こそが世の起業家の成功の秘訣だと言う。
認知バイアスは判断や意思決定の正確さを歪める一方で、瞬発的な思考や意思決定、すばやい行動や対応を可能にする。
なにか不利な情報が一つ一つ舞い込んでくるたびに、その「失敗の可能性」をいちいち検討していては、アクションが起こらないし、意思決定スピードが鈍り、成功を他に掻っ攫われることにもなる。
起業のスタートアップ期においては、自信過剰バイアスは成功につながる「アクション」を引き起こしやすい。楽天的なメンタリティは起業プロセスを前進させるのに不可欠だという。
自分が興したビジネスが成功すると強く信じて疑わないからこそ、彼らはそれについていくらでも精神的・肉体的なエネルギーを注ぎこめるようになるわけだ。
Google(グーグル)の共同創業者でありCEOのラリー・ペイジ氏が、母校で行なった卒業スピーチ。
──夜中にすごくリアルな夢を見て飛び起きたことはありませんか? 飛び起きたときにそれを書き留めておかなければ、翌朝その夢を思い出すことはできません。
23歳のときにこれを経験しました。鮮明なビジョンが夢に出てきたのです。バッと飛び起きて考えました。
「もしもウェブのすべてをダウンロードできたとしたら? リンクを保存して……」
すぐさまペンを掴んで頭に浮かんだアイディアをすべて書き殴りました。
──若者の「絶対にできる!」と信じる力は、時にものすごいことに繋がります。当時はサーチエンジンを作ろうなどと、これっぽっちも考えていませんでした。
それでもその後、ウェブページをランク付けする良い方法を考案し、素晴らしいサーチエンジンが生まれました。それがGoogleです。素晴らしいことを思い付いたら、とにかくやってみることです。
──ところで、Frese & Cielnikの研究では、起業の後期(軌道に乗り始めたあと)においてはやはり、「自信過剰バイアス」は弊害をもたらすようになると警告されている。
スタートアップ企業は楽天的で自信過剰な人間によって立ち上げられるが、彼がワンマン体制を敷いたままだと、入ってくるリスクの情報はすべて自然に過小評価、もしくはポジティブ評価がなされ、その対策が練られることがない。
しかし、
「なにか問題が起きたタイミングで都度対応&修正すればいい」
(=事前にすべてのリスクを無くしておこうとするととてつもなくコストがかかる→成功しない)という考え方は、ベンチャー起業界隈には根強いものだ。
たとえば「YouTube」は2005年にPayPal社員3人によって立ち上げられたが、もし彼らがあらかじめ「著作権侵害で訴えられるリスクをゼロにしよう」と考えて、著作物を自動検出してNGにするシステム構築に時間をかけ、ローンチを遅らせていたとしたら?
「Facebook」はマークザッカーバーグの「学内のオンナのルックスランキング投票サイト」からアイデアが生まれ、2006年に一般公開されたが、もし彼が「個人情報を収集できるようなシステムを作ることにはとてつもないリスクがある」と恐れてそれを躊躇っていたら?
「Airbnb」は2008年にチェスキーとゲビアによって「エアベッド&ブレックファスト」という簡易な宿泊提供システムとして生まれたが、もし彼らが「民泊行為は地元サンフランシスコ州ですら思いっきり違法だし、こんなのヤバイよ」とそのアイデアを諦めていたとしたら?
──すべて上手くいってなかったはずだ。
だから、最初はそれでいい。
何かを始めようと思うなら、実際に行動を起こそうと思うなら、その見通しをある程度「甘く」考えることは必須だ。
それに「まあ、まだベンチャーの若造がやることだしな」と、客も期待値の低さから過剰なクレームを付けないし、周囲の人間も温かく見守ろうと思うから、「こいつらハメてやろう」とは考えない。
だが、一度それが軌道に乗りはじめ、上手く周りはじめると、彼らの「イケるやろ」という甘い考えは、メリットよりもリスクを大きく誘引することになる。
だからこのタイミングで「ネガティブな人間」「リスクにうるさい人間」「お目付役」「アタマ堅めなおっさん」を雇って、社内にブチこんでおけ、というのが成功の定石になるようだ。
🧠 進化心理学的な解釈
──これは、得意分野に関しては自信をもって「勝てる!」とバンバン行動を起こした方が個体が生存・生殖戦略を遂行する上では有利に働いた、ということだ。
“勝ち目がある” と思わないことには動物は個体行動を起こさない(あるいは闘争 or 逃走反応において後者を選ぶ)から、脳みそはデフォで勝ち目を盛って伝えることで「オイ、オマエ得意だろ?やれよ」と俺たちを動かすようになったわけだ。
この「自信過剰バイアス」には明確な男女差が存在する。
これまでのヒトの生物史において、男は自信過剰にアタックした方が生存/生殖には有利に作用し、オンナはやめといた方が無難だったのだ。
ホモ・サピエンスの遺伝子解析から、これまでのサピエンス史において子供をひとりでも残すことができた確率は、
男は全個体のうちの約40%/オンナは全個体のうちの約90%だったと判明している。
これはどういうことか?;単純化すると、男は平均的な集団に埋もれていると一生童貞、女は下位10%にさえならなければとりあえず子供は持てるし安泰、という事だ。
男はオンナと異なり「チャレンジ」しなければ、本来誰ともセックスできないし、子供をひとりも残せない。モテ偏差値50の男にオンナが性的に惹かれることはないのだ。
さらに、進化心理学者D.ケンリックの研究によれば、
男は「配偶者獲得」モードになると損失回避バイアスを失うようにできている。
(Li & Kenrrick, 2010)
──男はみんな、脳が異性獲得モジュールを発動させるとヒトにデフォで備わっている"損失回避"のバイアスを失い、利益(=タダで1万円ゲット)と損失(=1万円の罰金)の価値を数学的/ファイナンス的にただしく均等に評価するようになるのだという。
なぜ?──「生存」と「生殖」で、シーン別にそこに掛けるべき(掛ける事でうまく生きるのには有用な)損失回避は異なる(これまでの人類の歴史では異なってきた)ということだ。
「生 or 死」のシーソーであれば、前者よりも後者を重たく評価し、それを避けることがヒト個体にとってはこれまで確かに有用だった(現代社会では“だれも滅多に死なない”のでまた変わってくるが)。
しかし、オスが「オンナが欲しい!」セックスしたい!」と思うとき──つまり選択肢が「アタックする or フラれる」である場合は、後者を過大に重み付けして思考するのは無駄だったという事。
男はアタックしていい結果を手に入れることが多かったがために、損失回避バイアスを脳みそに備え持つ必要は無かったし、そうやって「失敗したとき」のことについてクヨクヨ不安になってしまう奴はモテ戦略において不利だったのだ。
(俺の好きなやつ)
✔️モテたい男のためのTIPS
“カワイイと思ったら、アタックせよ。”
──モテたいなら、“自信過剰で楽天的な起業家”のメンタルを身につけよう。
俺の「口説きプロジェクト」はかならず性交する。つねにそう信じていよう。
どんな困難な状況においても──いかにオンナが退屈そうな顔をしていても──まだデートが進行中であるかぎり、性交の可能性を疑ってはいけない。モチベーションを保って、やれる事はやりきろう。
また、非モテの「モテ化プロジェクト」についてもそうだ。
──俺はかならずモテるようになるし、なってやる。その強い信念が、プロジェクトのスタートアップ期の荒波──多くの男はココで挫折する──を乗り越える原動力になる。
どんなプロジェクトだろうと、始めたばかりのころは不確実性が強い。かならずしも上手くはいかない。
だが、オマエは “自信過剰で楽天的な起業家” だ。なにか困難や不測の事態が起こるたびにダメージを受けてヘコんで、立ち止まってしまうなんてNGだ。
──もう、あらかじめ相当数フラれることなんて想定済みだろ? それなら、いちいちヘコむ必要なんてない。
✔️ もひとつ、重要なTIPS
“未成年、セクハラ、レイプ扱いに気をつけろ。”
──モテ中級者以上の諸君。リーガルリスクをつねに意識しておこう。
初心者は誰もがオクテで臆病だから、そういうことにはならない。問題は調子に乗ってきた中級クラスからだ。
男はみな、経験を経るごとに口説きが上手くなるし、デートをしてホテルに誘う流れも洗練されてくる。
もちろん、日本は婚姻関係(法的拘束力がある関係。ちなみに「付き合う」にはなんの法的拘束力もない)に無い者同士の自由恋愛が保障された国だから、18歳未満の未成年でなければ男女が何をイチャコラしようと自由だし、週刊誌はワンチャンセックスを熱愛スクープ同様に囃し立てることはできても、「違法行為」として弾劾することはけっしてできない。
しかし、セックスした相手がもし18歳未満の未成年なら「犯罪だ!!」と騒ぐことは可能になるし、職場のオンナにムリに迫ればセクハラ事件にもなる。
また、酔わせて意識を失わせ、無理やり引きずってお持ち帰りなんていうクソ行為を働いた暁には、後からオンナに「レイプだ」と訴えられても文句は言えない。
モテる男は自信過剰になる、「こいつは俺に惚れるだろう」「このパターンはイケるやつだろう」と思い込んでしまう。
そんな時のため、脳内に「ネガティブな人間」「リスクにうるさい人間」「お目付役」「アタマ堅めなおっさん」を雇っておくのもいいが、俺はとにかく以下の鬼ルールを常に機械的に遵守することを勧める。
口説き男の“鬼四則”
1.JKには死んでも手を出すな。
──女子高生はやめとけ。18歳以上だからJK3はイケるにしてもやめとけ。あいつらは平気で年齢を偽るし、背伸びする。ママやパパの管轄下にある少女に手を出すほど後からめんどくさいことはない。
だいたい、18ならまだしも、それ未満に欲情するロリコンは本当にキモい。ロリコンメンタリティとは「俺はマトモにモテ競争すると他の男に敗北するので、まだ他の男が手をつけていない=確実に自分のタネづけができる個体を狙う」という非モテマインドから来ている。
──そんなマインドを持ってる奴は、永遠に非モテのまま抜け出せない。
2.職場のオンナには手を出すな。
──セクハラ回避の鉄則である。セクハラの99.9%は職場や仕事関係で起こる。
男がオンナに対し、何の職権を振るうこともできないフィールドでは、こんなものは起こりようがない。
だが、世の中の男はついつい権力でオンナを口説いてしまう。
なぜ?──進化心理学の知見からいえば、すべてのオスが権力を獲得するのは「異性にモテる」という目的に紐付けられているので、それを “セックスの為の手段” として用いてしまうのは当然なのだ。*
*しかし人工的な「ヒトの群れ」と、自然な「動物の群れ」の地位や序列の決まり方のロジックはまるで異なる。そのために社会的に地位の高いはずの男がまったく性的にモテないということも人間社会では起こりうる。それゆえに「オッサンの勘違い」は生じるのだ。この事は以下の記事を参照してほしい。
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しかし、そこは抑えよう。
職場のオンナに軽い気持ちで手を出すのは本当にめんどくさい事になる上、あまりにコスパが悪い。
俺たちオトコは「よく知っているオンナ」の生殖相手としての価値を過剰に高く見積もってしまう。職場や所属コミュニティのオンナは必然的にかわいさ評価に目が曇るのだ。街に出ろ、同じくらいかわいいオンナなんてたくさんいる。
おちんちんを振り回すならどう考えても職場以外に限る。
街で知り合ったオンナをデートに誘うことや良いムードになったからホテルに誘うことなんて屁でもない。互いに心的負担がかかりにくいから男は大胆にいけるし、そのために性交率も高くなる。
が、それが職場のオンナとなるとどうか。まずオンナが慎重になって固くなる。そして俺たちもセクハラリスクを前にして慎重にならざるを得ない。
──そのような冷めたデートは結果が出ないし、セックスできない。後に残るのは?めんどくささだけだ。
逆に、アツくなっちゃってムードそのままやっちゃった場合。その時点でもうそのオンナに首根っこを握られたようなものだ。オンナが上司に訴えれば、男は有無を言わさず処罰されたり、左遷されたり、解雇事由にもなる。
「セクハラされた」とヘルプを求めてきたオンナを保護し、当該の男をシバきあげることは、上司のおっさんにとってオスとしての無意識の生殖戦略になる。
勿論だが、裁判では当たり前に無罪の判決が下されるような案件でも、職場会議ではウムを言わさず有罪にされる。
童貞や非モテはコミュニティ内や職場のオンナに手を出しがちらしいけれども、俺はそーいうのを聞くたびに「よくやるなぁ」と思う。そこ、オンナとセックスする難易度とリスクが一番ハードに跳ね上がるフィールドだぞ。
3.ファースト・セックスはラブホでやれ。
──これはリーガルリスクを管理するうえでもっとも超絶に重要なことだ。
「ラブホテルにイチャイチャしながら入っていく二人の姿」をラブホカメラに残しておけば(設置が義務付けられている)、はっきり言って、まず大丈夫だ。
それは「同意の上」であることをもっとも強力に示す証拠として警察には扱われている。これを覆すというのは、ほかによっぽど確かな証拠がないとできない。
だからワンナイトセックスはラブホでやろう。「ラブホテルにイチャイチャしながら入る」はれっきとした「合意」として取り扱われる。
その映像は、事前に書類をつくって「セックスしてもいいですか?よろしければこちらにサインを〜」とやるよりも、はるかに効力のある合意の証明になる。
よっぽどのことがないかぎり、そしてオマエが何かやらかさないかぎり、強姦罪にも準強姦罪にも問われることはない。
また、セカンド・セックスともなると、男女は交際関係(=付き合っている)と見なされる。
LINEでファースト・セックスを交わした後のやり取りを残しておけば、2回目からはわざわざラブホなんて使わなくとも、自宅に呼んでセックスしたらいい。
そのリスクは皆無に近い(付き合っている女とセックスするとき、強姦として訴えられ、逮捕されるリスクを世の中の男は勘案するだろうか?)。心配は無用だし、考えても仕方ないだろう。
4.翌朝には「ありがとうLINE」。
──これも重要だ。抱いたあとは感謝を込めて、LINEで「かわいかったよ」とかのラブいメッセージを送っておこう。
ここでちゃんと仲のいいやり取りをしておけば、これもまた状況証拠になる。
世の中の女の子はみんないい子ばかりだが、なかには後から「あの時はイイと思ったけど気が変わった」とか、「付き合ってくれないなら訴える」とか言いだすコもいる。これは事実だ。
俺たちオトコはみんな、セックスのこととなるとおちんちん脳に変わってしまい、ついついリスクを冒してしまう。
そして社会は「男を加害者、女を被害者」と見る向きがいまだ強い。そういうことをきちんと自覚して、つねにリーガルリスクだけは適切に管理していよう。
──大丈夫。目の前のオンナが「楽しい」と思っている時に、オトコの脳みそは自分も楽しくなってきてしまうように設計されている。
「キモチイイ」にしたってそうだ。相手が良くないと自分も良くないのが男だ。
オランウータンの世界には、女の同意を得ずにレイプする卑怯な個体が稀にいる。ではどんなタイプのオランウータン個体がレイプするのだろうか?
──オンナにまるで相手にされない非モテ最下層の連中である。
レイプ犯のメンタルはクソダサいし、その雑魚メンタルでは一生モテない。
男なら、そうはならないようにしよう。
オンナから「この男に抱かれたい」と思われることに至上の価値を感じる、それがモテ=メンタリティだ。
SMにしたって「この人になら身体の支配権をすべて委ねてもいい」と思われることに価値がある。暴力をふるって無理矢理シバくなんてダサいだけだ。
パンツを脱がす瞬間、相手が腰を上げてくれたら、もうそれでいい。もうそれで自分としては満足だし、気持ちよくなってしまう。──その後の時間は、そう思ってくれた相手への感謝の奉仕タイムになる。
男は“鬼四則”をしっかり守り、楽しいセックスライフを送ろう。もちろん自分が楽しむだけじゃなく、オンナを楽しませるエンターテイナーの気概を忘れずに。