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ナポリ編/海外サッカー入門向けに強豪クラブ20チームの戦術・有名選手の紹介してみる Part.9

 9位/SSCナポリ(Società Sportiva Calcio Napoli SpA)
所属: セリエA 本拠地: イタリア・ナポリ 監督: マウレティオ・サッリ

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マラドーナが所属した南イタリアの名門。かつてのカバーニハムシクラベッシスペクタクルな前線が織りなす攻撃サッカーはイタリアのクラブのカテナチオ(守備を第一とする守りのサッカー)を完全に破壊し、セリエAに衝撃を与え、トレンドを一気に変えた。

 

36得点セリエ史上最多得点を叩き出したイグアインユベントスに移籍した昨季、その攻撃力の低下が危ぶまれたが、銀行員出身で緻密な戦術家として知られるサッリ監督は引き続き、厚みのある攻撃を武器とする火力のあるチームを作り上げた。

 

ボールを保持すると選手が三角形のパスコースをつくり、素早くショートパスをつなぎ、相手を翻弄する。そして前向きに走る選手に素早くボールを配給する。鋭い攻撃を行うためカウンターサッカーと誤解されがちだが、ナポリポゼッションサッカー(ボールをできるだけ長く保有し、パスで崩す)のチームだ。CFメルテンス偽9番として使い、中盤に下がったり、右や左に流れて相手をかき回すことで、マークの掛け違いを引き起こし、生まれたギャップを利用してゴール前へとボールを侵入させる。

 

右と左の役割が非対称なのが特徴的で、基本的にハムシクのいる左サイドにボールを集め、左サイドのみで崩し、下がり目だった右サイドからカジェホンが飛び出してきて、決める。「自分がここにいることで、スペースがそこにできる」「じゃあ俺はそこを使うから、ボールを渡したらあっちで待っててくれ」というイメージを攻撃陣が阿吽の呼吸で共有しており、はじめからイメージが統一されているからこそ、その場その場で考えて動く相手の守備陣よりも一歩早くプレーを展開し、チャンスを作ることができる。

 

また、攻撃陣の火力を保つための守備戦術も特徴的だ。最終ラインの4枚は、狭い感覚を保ちながら、ロープでつながれているかのように常に整列され綺麗にスライドする。日頃の練習からドローンを空に放ち、上空からの映像で守備ラインにズレがあると即座に指摘するやり方を採用しているらしく、驚きだ。

 

ボールの位置のみを守備の基準としており、敵の選手が入ってきても整列されたラインを崩して掴まえたりはしない。徹底的にマンマークを行わず、完全なゾーンディフェンスを保って守る。


ディフェンスラインの位置は極端に高く、DF4枚がハーフラインから前、相手陣地内でプレーをすることも多い。ボールを奪われるとしても出来るだけ相手ゴールに近い位置で、つまり、奪い返せばチャンスになる位置で、プレーする。

 

スペイン的なパス回しからの痛快な攻撃サッカーと、イタリア的な「決まりごと」で固められた構築された守備の融合。ヨーロッパで唯一二桁得点が4人(メルテンス28点、インシーニェ18点、カジェホン13点、ハムシク12点)いる、まさに「どこからでも決められる」前線のスペクタクルなカルテットが今季どこまでやるのか、注目したい。


2016-17シーズン
https://youtu.be/92Fqmzd0onE

 

今季の基本フォーメーション4-3-3

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<有名選手>

 

ドリース・メルテンス/ベルギー代表
FW センターフォワード 偽9番

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昨季、シーズン途中からの起用であったにもかかわらずリーグ戦28得点。今季も1試合1ゴールペースと絶好調の、現在世界屈指のドリブラーストライカだ。

本職はウィンガーで、圧巻のドリブル技術を持ち味とする。スペースのあるサイドでボールを受け相手との一対一でカットイン、外へ流れてクロス、俊敏な動きを生かしてDFラインの背後を狙ったり、
はたまた下りてきてパスをもらいそのままドリブルでバイタルまで駆け上がりシュートを打つなどCF出身でないからこその自由な動きが可能で、さまざまな角度からアプローチを仕掛ける。

偽9番センターフォワード起用だが、トップ下のような動きをする、メッシやトッティがやっていた役割)に適したプレースタイルなため、メルテンスを真ん中に置くことで、ナポリの持ち味であるサイドアタッカーが躍動する。中盤に下がることでインシーニェ、カジェホンのためのスペースを作り出し、より密に連動してゴールを生み出すことが出来る。
イグアインがいた去年までよりもむしろ連携が上がり、チームとしてのクオリティが増した印象だ。

 


マレク・ハムシクスロバキア代表
MF サイドハーフ

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ナポリ一筋10年のモヒカン司令塔。

足は両利きで、広い視野を持ち、一撃必殺のラストパスを前線に供給する。
緩急自在のドリブルを持ち、自らペナルティーエリアに侵入し、ゴールを決めることもできる(昨季12得点)。

また、ボールを持っていないときのオフ・ザ・ボールの動きにも優れ、フィールド全体を上空から俯瞰しているかのように、いて欲しいところにかならずいる。

サッカー脳が優れており、無尽蔵のスタミナとインテリジェンスを武器に相手陣内で危険なエリアに顔を出し続ける相手にとっては非常に厄介なプレイヤー。

 


ロレンツォ・インシーニェ/イタリア代表
FW 左ウイング

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イタリア代表10番。

163cmと小柄だが、それをカバーするだけのアジリティ非凡なサッカーセンスを持ち合わせている。
切れ味抜群のドリブルからの抜群の精度を誇る長短のパス・クロス。チャンスメークセンスの塊だ。

サイドからものすごいスピードかつ細かいタッチのドリブルで侵攻し、左斜め45度からのカットインイタリア代表のファンタジスタデルピエロゾーンから観客を魅了する。