W杯出場国32チームが出揃ったので強さ順にランクづけして戦術・フォーメーション・注目選手等を紹介/31位 サウジアラビア🇸🇦
31位/サウジアラビア代表(グリーンファルコン、The Green Falcons)
FIFAランク63位、3大会ぶり5回目
監督:ピッツィ
アラブ諸国の首領(ドン)。イスラム教の聖地メッカを保有し、イスラム世界のスンニ派を率いる存在。シーア派のイラン(ペルシャ人)と伝統的に中東の覇権を争い、現在は国交を断絶している。
「イスラム教の宗教改革」であるワッハーブ派を国家宗教として厳しい戒律と原理主義を是とし、国家ぐるみでイスラム原理主義を海外に輸出することで、世界で多数を占める穏健派イスラム信者をシバきあげ、ISISなど過激なイスラム勢力を着々と育ててきたヤバイ国だ。
サッカーでは、80〜90年代の黄金期を経てからは低迷していたものの、オランダ人のファンマルバイク前監督が見事にチームを復活させる。'10年W杯のオランダ代表を準優勝に導き、フェイエノールト、ドルトムントといった名門を率いた名将だ。
彼はチームにソリッドな規律とオランダ流守備戦術を植え付けた。ボール保持者への激しいプレスによって守備陣形が崩れやすいことがサウジの最大の弱点と認識し、焦らずリトリートする(相手のボールの進行を遅らせ、味方の人数が揃うのを待つ)ゾーンディフェンスを徹底させた。
これまでのサウジの特徴だった、カウンターでロングボールを出して「前線行ってこい」のサッカーをやめさせ、ショートパスをつなぎ、アラブ人特有のそこに通すか!という"閃き"を活かして一瞬のチャンスを作り出す。
さらにはファンマルバイクは相手チームを個々に分析して弱点を炙り出すのが得意で、試合ごとにチームの決まり事を作る。
例えばこの前の対・日本戦では弱点である「DFとMFの接続の悪さ」を突き、このタイミングでフォーメーションをこう変更する、という決まり事をチームに共有させていた。
それにより意図的にDFラインと中盤の間(アンカーサイド)に多数の選手を侵入させ、日本が慌てる場所でボールを受けさせることを繰り返した。
しかし急転。ファンマルバイク監督はサウジサッカー協会や王族による露骨な現場介入と戦術変更、かつサウジへの永久移住を求められ、みずから辞任。
その後、サウジの金満サッカー協会はアルゼンチン元代表監督バウサを招聘したが、親善試合でポルトガルに敗北し、これもまた2ヶ月で解任。チリ代表監督のピッツィを招聘し、絶賛迷走中だ。
■基本フォーメーション4-2-3-1
■注目選手
サウジのエースで背番号10番。先日、浦和とACL決勝を戦ったサウジアラビア1部アルヒラル所属。168センチと小柄だが、俊敏なドリブルであっという間にペナルティエリア内に侵入し、DFにちょっとでも寄せられると持ち味としている演技点の高い美しいPKダイブが炸裂する。